個人飲食店経営者にありがちな経営思考とは?
今回は、街の個人飲食店経営者に多くみられる経営思考について取り上げたいと思います。
私は経営コンサルタントの仕事柄から従業員5人以下の小規模事業者と接する機会が多く、その経営者たちが自分らのお店をどのように繁盛させるかという経営思考に触れた時、ビックリするのは、大多数の人が、広告宣伝に興味がうすく、それに費用をかけたがらない事です。
宣伝広告費をかけないことはデメリットばかり
特にこれから開店しようとしている場合は、最後に残った予算が宣伝広告費であったり、開店して間もないお店の多くの宣伝は自分でホームページを作ったりとか、自分だけでSNSを発信したりという程度です。
例外も有りますが、小規模のお店に限らず
成功している繁盛会社は有効な宣伝広告費を惜しみません。
だからと言ってこの時代に新聞折り込み広告などに多額の費用をつぎ込む事を推奨しているわけではありません。
あえて言います!ホームページを見直してください!
私はあえて言いますが、『もう一度あなたのお店のホームページを見直してください』
そのように言うと、『今更ホームページ??』と言う声が聞こえてきそうですが、『そう言う経営者はホームページが発揮する集客力を全く理解してない』と私は反論します。
飲食店のホームページを見るたびに私は頭の中でダメ出しをしています、どこのお店も料理や店内の写真を綺麗に並べているばかりです。
またターゲットやキーワードの戦略も全く感じられません。
何故多くのお店が横並びで個性の無いホームページばかりになってしまったのか考える事がよく有ります。
グルメサイトの台頭による影響
飲食店のホームページの多くが個性がなく横並びになっている理由の一つとして考えられるのが、十数年前から流行したグルメサイトの台頭にあると思います。
エリアやお料理のジャンルで絞り込みができ、人気店のランキングが分かるのはとても便利です。
皆さんも少なからず 食べログ、ホットペッパーグルメ、ぐるなびなどのグルメサイトや飲食店予約サイトを利用したことはあるのではないでしょうか?
決まったスぺースに決まった写真を張り付けて、『はい終わり』
グルメサイトにさえ掲載すれば簡単にお店の宣伝ができて、集客できますよという流れを作ってしまったゆえに自社ホームページがおろそかにされてきた。
それが飲食店がホームページに力を入れなくなった一番の理由だと考えます。
グルメサイトの仕組み
それではここでグルメサイトや飲食店予約サイトの仕組みを簡単にご説明いたします。
グルメサイトの検索上位に表示されるためには高額な掲載料を毎月支払い続けなればなりません。
食べログの場合
例えば食べログの場合、一番高いプランは 100,000円/月額です。
えッ!?こんなに高いの?と思われるでしょうか?でもある飲食店の方々は他のグルメサイトに比べたらまだ良心的だよと言いいます。
なぜなら掲載料金に影響されない口コミの数や点数順での並べ替え表示できるようになってるからです。(こちらの順位も間接的に操作されてるとの疑惑はありますが…)
ぐるなびやホットペッパーの場合
そしてぐるなびやホットペッパーですが、こちらは口コミサイトではありません。
単純に掲載費用をどれだけかけれるかで表示順位が決まる仕組みです。順位は売り上げにも大きく影響するため飲食店は無理(原価率を下げる、人件費を削るなど) してでも高い掲載料を支払い続けなればなりません。
ぐるなびは正会員で5万円~/月額です。
しかし、より上位に表示されるためには競合店よりも高い金額を払わなければならないシステムになってます。例えば競合が10万円なら15万円、競合が20万円なら30万円払わなければ上位は獲れません。
よって、激戦区になればなるほど毎月の掲載料は高くなる仕組みなのです。某激戦エリアでぼったくり居酒屋があとを絶たない理由も分かりますね。
ホットペッパーもぐるなびと似たようなシステムですが、ホットペッパーはフリーペーパー(フリーマガジン)を毎月発行しています。(皆さんもコンビニなどでホットペッパーが設置されているのを見たことはあるのではないでしょうか?)
そしてWeb掲載料と紙媒体の掲載料は別でかかる仕組みになっています。 ただし地域によっては紙媒体が発行されないエリアもありますのでその場合はWeb掲載費用のみとなります。
紙媒体が発行されている地域であれば、掲載ありかなしかのプランを一応は選ぶことができるのですが、結局掲載ありのプランを選ぶしかないといいます。
なぜなら掲載ありプランにはスマホ上位表示という特典が付いてくるからです。
一番高いWeb掲載料だけを支払っても、結局両方の契約をしている飲食店より上位にはいけないのです。
とても上手くできている?あこぎな仕組みですね。
ちなみにぐるなびは2017年をピークに業績が下降線をたどっています。
グルメサイトの闇 ~食べログの場合~
食べログはたびたび悪評がたっており、SNSでも批判の対象になることが多いです。
やらせレビュー事件
過去にはやらせレビューが問題となりました。やらせレビュー業者にお金を払えば順位を上げてもらうことができる、そんな疑惑が立ったのです。
ことの発端は2012年、あるもんじゃ焼き屋が急激に食べログの順位を上げあっという間に行列のできる店になったことがきっかけでした。もんじゃ焼き屋はやらせレビュー業者にお金を払ったことを認めたため大きな問題になりました。
実はこのやらせレビューはいまだに行われています。さすがに飲食店が直接やらせレビューを書くことや、レビュアーに金銭を払って高評価を書いてもらうことは禁止されています。
そのためひそかにやらせレビュー代行業者にお金を払い、高評価と良いレビューを書いてもらっている飲食店がいることも事実なのです。
あるブロガーは1万円で居酒屋で星3.5以上、寿司屋で星4.0以上の評価をしてほしいと依頼がくると告発しています。
「ご来店、お食事頂き、食べログ投稿をして頂きたいです」
「居酒屋ですと(5点満点中)3.5以上、すし店ですと4.0以上でお願いしております」という。
見返りは1回の投稿につき1万円で、飲食代は2人まで無料。「最大限おもてなしさせて頂きます」とのこと。
要するに、食べログに「やらせレビュー」を書き込むよう、依頼してきたのだ。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00087/022700025/?P=2
食べログはやらせを排除するために、AKIのように頻繁に食べ歩き、投稿を重ねたレビュアーを食通と見なして、採点を店の総合得点に大きく反映させている。
食べログはレビュアーの投稿総数を公開しており、これを参考に口コミ代行業者が影響力の高そうなレビュアーのリクルートを試みているわけだ。
正当な投稿を重ねてきたAKIは、今回もやらせに協力することはなかったという。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00087/022700025/
スコア(星3.0)リセット事件
2016年にSNSに投稿された内容は大きな物議をかもし炎上状態になりました。
あるチェーン店の関係者が「スコアを全店一斉に3.0に下げられた」とツイートしたのです。
契約更新の際に有料のネット予約機能を断ったところ 食べログ担当者より『ネット予約を使ってもらわないと検索の優先順位を落とす』 と言われた、というのです。
年会費を払わないと評価を下げる事件
きっかけは昨年(2019年)10月、飲食店がTwitterに投稿した「食べログの評価3.8以上は年会費を払わなければ3.6に下げられる」という疑惑。この投稿を発端に、複数の飲食店からも「同様のことがあった」と声が上がりはじめたのだ。
https://diamond.jp/articles/-/228838
しかし食べログを運営しているカカクコム側はそのようなことは一切していないと発表しています。それでも疑惑を払しょくできないのはスコアの集計方法が複雑なアルゴリズムと不正を排除するためという理由で非公開となっているからでしょう。
このように食べログ頼りの飲食店はちょっとしたアルゴリズムの変動で順位や点数が変わり、お店の売り上げも大きく左右されることになるのです。
公正取引委員会が動いた!
公正取引委員会の報告が以下です。
グルメサイト、点数操作は独禁法違反 公取委が調査
飲食店などがグルメサイトの評価点数や掲載順が不透明と訴えており、 運営会社側が恣意的に操作すれば独占禁止法違反にあたる恐れがあるとした。公取委が目をつけたのは、表示する点数や掲載順の決め方だ。
多くのグルメサイトでは、高額な掲載料を支払っている外食店が検索の上位に表示される。
多くのサイトでは高額の手数料を支払うプランで契約している飲食店ほどサイトの上の方に表示されることが判明した。無料や低額のプランで契約している飲食店は、掲載順位が低いので検索しても消費者の目にとまりにくい。
運営会社側は飲食店が支払う手数料に加え、残席数や予約実績の多さなどの要素を加えて掲載順位を決めていると主張した。消費者の9割がこうした評価のしくみを知らずに使っており、公取委はサイト側に透明性の向上を求めた。
ある特定の店の点数や表示順位を落とすことで高額プランに変更させるなどの行為があれば独禁法上の「優越的地位の乱用」にあたる恐れがあるとした。
公取委は違反例を具体的にしてまず業界の自主改善を促す。改善しない場合は、法執行も視野に入れる。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56937710Y0A310C2EA1000/
2020/3/18
公取委が動いたということはグルメサイトには違法性があるということです。このようなグルメサイトにいつまで依存するのですか?
グルメサイトには頼るな!
飲食店経営者の皆様におかれましては、このコロナ禍で客足が途絶えているのにも関わらず、掲載料として毎月10万円以上を支払い続けるのはどれだけ苦しいことか…心中お察しいたします。
私が声を大にして言いたいのは「グルメサイト依存から脱却しましょう!! 」ということです。
グルメサイトの掲載料というのは新聞折込と同様に無駄だと私は考えています。
ですからもう一度繰り返します。
『もう一度あなたのお店のホームページを見直してください』
そしてそのホームページとSNSと独自のお店のアプリを組み合わせると更に有効です。
またコロナ禍におきまして、広告宣伝費を小規模事業者持続化補助金で補うことができる今がチャンスです。
その際は弊社を是非ともご利用ください!